サンディー・ヒスロップ
東京ベイコート倶楽部
ホテル&スパリゾート
本多 守
(ほんだ まもる)
京王プラザホテル
石部 和明
(いしべ かずあき)
カクテル ガストロノミー
キュウ ヤスイ トーキョー
安井 究
(やすい きゅう)
司会
本日は、バランタイン5代目マスターブレンダーであるサンディー・ヒスロップさんとバランタインのアンバサダーとして活躍されているマスター オブ バランタインの東京ベイコート倶楽部ホテル&スパリゾート 本多 守さん、京王プラザホテル 石部 和明さん、カクテル ガストロノミー キュウ ヤスイ トーキョー 安井 究さんの以上4名の方にお集まりいただきました。
このセッションでは、ファイネストと12年についてお話しいただこうと思います。まず、ファイネストの魅力についてサンディーさんへご質問はございますか?
本多
ファイネストは2016年『ウイスキーバイブル』(国際的なウイスキー評論家ジム・マレー著)のスタンダードスコッチ部門で最高得点を獲得されましたね。ファイネストならではの魅力を改めてお聞かせ下さい。
サンディー
バランタインブランドの中でも、非常に汎用性に優れています。そのままストレートで飲んでも美味しいですし、ファイネストはスモーキー香が強すぎずクリーミーでまるみを帯びた味わいなので、カクテルのベースに用いるのにも向いています。ノンエイジですが最大8年熟成のウイスキーまで使用することで、ウイスキーの骨格がしっかりしています。
石部
ファイネストはヨーロッパでNO.1スコッチ(IWSC 2014実績)ときいていますが、ヨーロッパではどんな風に楽しまれていますか?
サンディー
ファイネストは甘く、かすかにピート香もありますがピートの尖りがないため、ロングカクテルに使いやすいウイスキーだと思います。そのため、スペインではコーラで割って飲むのが流行っており、特に若い方に親しまれています。
石部
私が勤務する京王プラザホテルでも長年ファイネストをカクテルにも使っています。ソーダとオレンジピールを使ったカクテルは女性にも人気です。
サンディー
ファイネストはシトラスのような柑橘の香りも感じられます。そのためオレンジピールとの相性がいいのだと思います。
安井
12年はサンディーさんの最もお気に入りとも伺っているのですが、12年の良さについてお聞かせ下さい。
サンディー
私の感覚ですが、樽の香りと果実のような香りとのバランスがいいと感じています。私は自宅で12年をグラスに注ぎ、その半量の水を足してトワイスアップで飲みます。もちろんハイボールにも合うでしょう。ソーダで割っても味わいが壊れずフレーバーがよく伝わります。サンプルルームでも「味わいが壊れずに残る」ようにブレンディングをおこなっています。
石部
ファイネストと17年のキーモルトは異なりますか?また、ファイネストと12年で使用している樽に違いはありますか?
サンディー
詳しくは申し上げられませんが、ファイネストにはモルトとグレーンウイスキーの種類が17年よりも多く使われています。17年と同じくミルトンダフやグレンバーギーも使っていますが、もうひとつ隠し味的なモルトとして重要な役割を果たしているロングモーンがあります。また、ファイネストと12年の樽の違いですが、ファイネストにはアメリカンオークの樽を100%近く使っています。これに対して12年にはアメリカンオークに加えてヨーロピアンオークも使います。ファイネストをそのまま12年まで熟成させるとアメリカンオークの特徴が際立ちすぎるので、そのため12年には意図的にアメリカンオーク以外の樽を使っています。
本多
私の勤務先の東京ベイコート倶楽部は17年以上から取り扱っているのですが、個人的にはファイネストや12年も好きで、今後は大きな宴席の場でもバランタインを気軽に飲んでいただきたいと考えています。
石部
私もバランタインの入り口としてはもちろん、ウイスキーの入門編としてもファイネストを紹介していきたいです。
サンディー
ファイネストや12年は他のスコッチにはない華やかな特徴があるので、バーテンダーの皆さんにはハイボールやカクテルとしても使ってほしいです。とくにシトラスなどの柑橘を使ったカクテルとファイネスト、12年は相性がいいと思います。
安井
私としてはもっと手軽にウイスキーを楽しんでもらいたいと思っているのですが、手軽に楽しめるファイネストと相性のいい食べ物はありますか?
サンディー
やわらかいミルクチョコレートと相性がよく、バランタインのもつクリーミーでまろやかな味わいがより引き立ちます。チョコレートと合わせるようなオシャレな組み合わせをお勧めいただくことで、さらに幅広く、多くの方に楽しんでいただけるのではないでしょうか。
<敬称略>