サンディー・ヒスロップ
ホテル椿山荘東京
土屋 智洋
(つちや ともひろ)
ロイヤルパークホテル
植薗 洋大
(うえぞの ひろお)
ホテルオークラ東京
福田 匡晃
(ふくだ まさあき)
パレスホテル東京
宮下 彰
(みやした あきら)
司会
本日は、バランタインに深く関わる皆様にお集まり頂きました。それでは、ご紹介いたします。まず、バランタイン5代目マスターブレンダー サンディー・ヒスロップさん。そして、マスター オブ バランタインのホテル椿山荘東京 土屋 智洋さん、ロイヤルパークホテル 植薗 洋大さん、ホテルオークラ東京 福田 匡晃さん、パレスホテル東京 宮下 彰さん以上5名の方にお集まり頂きました。
このセッションでは、バランタイン17年の話を中心にお話しいただきます。まず、サンディーさん昨年はバランタイン17年でISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)※の最高賞「トロフィー」の受賞おめでとうございます。また、一昨年日本で話題になった山崎シェリーカスクが世界最高得点を獲得した事で話題になった『ウイスキーバイブル』でも2011年に世界最高得点を獲得されていますね。
土屋
2016年にもブレンデッドスコッチ、13年~18年部門にて最高得点を獲得されていますよね。『ウイスキーバイブル』の著者であるジム・マレー氏は「妖艶な香りとパーフェクトバランス」と称されていましたが、サンディーさんの思うバランタイン17年の魅力とは何ですか?
サンディー
17年は甘みのあるフルーティーさやかすかなスモーキーさなど様々な香り、味わいの要素が重なり合い、ひとつの要素が突出していないこと、つまり全体のハーモニーが魅力だと思います。最近ではスモーキーフレーバーを特徴にしたウイスキーに世間の関心が高まりつつありますが、バランタインでのスモーキーフレーバーの役割は他のフレーバーの隠し味です。スモーキーな原酒の配合の比率が重要で、スモーキーさが他のフレーバーと競合しないようにしています。
宮下
17年で香りを楽しむフレグランススタイルについて、どう思われますか?
サンディー
17年の楽しみ方としては、本当に素晴らしいと思います。バランタイン17年の広がるフレーバーを実感するためには、大振りのワイングラスをおすすめします。
宮下
フレグランススタイルは、バランタイン17年のエレガントな特徴やキーモルトの構造なども感じられる飲み方だと思います。
植薗
キーモルトといえば、バランタイン17年には4つのキーモルトがありますね。過去に限定品として発売されたエディションシリーズはモルトの違いが感じられ、お客様もお勧めする側も楽しかったです。改めてキーモルトの特徴をご説明いただけますか?
サンディー
4つのキーモルトは、人間の指紋のようにそれぞれ異なる個性を表す役割があります。「スキャパ」はウイスキーの第一印象をつくり、かろやかなアタックとトロピカルフルーツのような香りの要素を与え、「ミルトンダフ」はブレンドの骨格、丈夫さを担います。「グレンバーギー」はブレンドの中心でありジャムのような凝縮感を与え、「グレントファーズ」は繊細できれいなフィニッシュをつくり出します。
福田
バランタイン17年のキーモルトであり、唯一購入できるスキャパブランドより今回「SCAPA SKIREN(スキャパ スキレン)」がシングルモルトとして新発売されましたが、特徴を教えてください。
サンディー
新しく生まれたシングルモルトのスキャパ スキレンの味わいには大変満足しています。トロピカルな甘さ、スキャパらしいフレーバーを追求することができました。熟成においてはファーストフィルのバーボン樽を100%使用しています。そして、スキャパらしい原酒の個性とこの樽で熟成させたことによるハーモニーを表現するために、熟成年数の異なるさまざまな原酒を使用しました。その結果、樽由来のクリーミーさと原酒由来のパイナップルのような香りが相性よく感じられると思います。また、軽やかで親しみやすい味わいなのでシングルモルトの入門編としてもお勧めしてください。スキャパ スキレンのあとに、17年を飲めばスキャパの味わいをすぐに感じとっていただけると思います。
宮下
17年とスキャパ スキレンを並べて飲むと、バランタインの楽しみ方が増しますね。
<敬称略>
※スコッチウイスキーの本場であるイギリスで毎年開催される酒類コンペティション。スコッチ部門、ワールドウイスキー部門、リキュール部門などに分かれており、各部門には「金賞」「銀賞」「銅賞」に加え、金賞受賞製品の中で優れた製品に授与されるカテゴリー最高賞「トロフィー」が設定されている。ウイスキーの審査については、世界のウイスキー蒸溜所のブレンダーなど10名の審査員が、エントリーされた400品を超える世界のウイスキーをブラインドテイスティングし、賞を決定するという方法をとっており、毎年受賞結果が世界の酒類業界の注目を集める。