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バランタインができるまで

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STEP4 樽
時の流れの中で、ウイスキーは深みと洗練を増す

まどろみの中で熟成するウイスキー

樽に抱かれて眠り続ける長い歳月のなかで、ウイスキーは輝くような琥珀色と豊かな芳香、まろやかな味わいを身につけていく。若いウイスキーが深く甘美な味わいを獲得する熟成の過程においては、蒸溜所内の空気と樽材の性質が酒質を大きく左右する。原酒の個性は、アルコールが芳香成分へと姿を変え、なめらかで深みのある性格をつくりだすことによって生まれるのである。

オーク樽と熟成の関係

ウイスキーの歴史からみると、樽によるウイスキーの熟成は、比較的新しい習慣である。ジョージ・バランタインをはじめとする19世紀の先駆的ブレンダーたちは、シェリー樽やポート樽などでウイスキーをじっくり熟成させると、個性の角が取れて絶妙のまろやかさになることを知っていた。この事実はやがて常識となり、すべてのスコッチ・ウイスキーに3年以上の熟成が義務づけられるようになる。

熟成のプロセス

熟成の間に樽の中では、いまだ科学的に解明されていない現象が起きている。貯蔵庫の中の樽は、気温の変化によって夏は膨張し、冬は収縮している。一日の気温の変化においても、また然り。この繰り返しによって、ウイスキーは樽の中で“呼吸”しているのだ。長い年月の間に、樽材の成分と蒸溜所周辺のかすかな潮風や霧雨がウイスキーにゆっくりしみ込んでいく。このプロセスは、色や香りをもたらすだけではない。誰にも完全には理解できない神秘的な輝きをウイスキーに与えるのである。

天使の分け前

オーク樽の気孔は外部から空気を吸い込むと同時に、微量のウイスキーを外に排出してしまう。毎年、ウイスキーの全量の約2%が蒸発し、二度と帰ってこない。この失われた分は、“天使の分け前”と呼ばれている。貯蔵庫の中にはウイスキーでちょっぴり顔を赤くした、幸せな天使たちが舞っているのだ。
こうして長い時を経ることで味わいは深みと洗練を増し、ウイスキーは成熟の時を迎えるのである。